自由

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毎朝起きて

家中の窓を開けて

猫たちにごはんを食べさせて

仏さまにお茶を淹れてお線香をたてて

めだかにごはんをやって

花瓶のお花たちの水切りをし

お外の草花たちに水をまく






なんてめんどくさい




それがなければその時間を自由に使えるのに






『ニョロニョロたちは
自分たち以外の誰とも関わらず
ひっそりと暮らしています
言葉を話さないし感情をあらわにしない
世間のあらゆるしがらみや絆から自由で
厄介な義務や責任に打ちひしがれることもない
個性も特徴もない
ちがいがないから仲違いもない
だれも愛さないしだれからも愛されることもない

たくさん愛したくさん愛されることに慣れてきたムーミンパパとはおおちがいです
パパはニョロニョロに自分の自由への憧れを投影しました

「かわいそうなニョロニョロたち
その時わたしは入江に座って彼らの事をそれはもう素晴らしく自由な生き物だと思っていた
だけど彼らには言うべきこともないし
行くべきところもないんだ
ニョロニョロたちの自由は何も生み出さず
誰も成長させない不毛で無意味な自由だ
喜ぶことも悲しむこともない
誰かを好きになることも怒ることもない
眠ることも寒さに触れることもない
ヘマをすることも胃が痛くなることもないし
また元気になることもない
誕生日を祝うこともないし
ビールを飲むこともなければ
良心の呵責を感じることもない
めんどくさいことはなにもない
なんて恐ろしい自由だ」 』







もし窓も猫もめだかも草花も
仏さまもなかったら
なんてあじけないのでしょう





窓や猫やめだかや草花や
仏さまに生まれるわたしの感情もなくなってしまう




わたし以外の存在がそばにいてくれることは
なんてありがたい









生きるってめんどくさい

絆ってめんどくさい


めんどくさいことに 心をこめて






愛のない自由はなんてあじけないのでしょう





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