目に見えない子

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『たたかうってことをおぼえないうちは
    あんたには自分の顔はもてません』
             -ちびのミイ-




ニンニは皮肉屋のおばさんから
冷たい仕打ちを受け続けて だんだん青ざめて
他人の目から姿が見えなくなってしまった女の子



ムーミン一家はニンニを優しく迎え入れます
ムーミンママが秘伝のお薬を飲ませたり
冴えない茶色の服を着ていたニンニに
きれいなバラ色のワンピースとリボンを縫ってあげたり
それだけで気分が明るくなる


ニンニを癒したのは
さりげないムーミンママの気配りでした



ムーミンパパがふざけて
ムーミンママを海に落とそうとするのを見たニンニは
パパのしっぽに噛みつきます
怒るという気持ちを取り戻したとき
ニンニはすっかり元の姿に戻ることができました

あんなに優しいママを
恐ろしい海に突き落とすなんて許さない
生まれて初めて心の底から腹を立て
怒りをはっきりと表すことができた
こうして怒りをあらわにし
戦う術を学んだニンニは
ちびのミイの予言どおり
自分の顔を手に入れた


顔がない目に見えないとゆうことは
ひとを惹きつける魅力もない
存在がゆらいであやふやだ


こんなわたしに怒る資格はない
こんなわたしを守る資格はない
そんな扱いをうけて当然

まわりのひとが言うように
守らなくてはいけないほど
わたしは価値のある存在じゃないんだもの


それが本当だと思い込んでいる




これは冒涜
生命への冒涜だ


生命に資格だとか価値だとか
そんなものあてはまらない
それをはるかこえたおおきなおおきなものだもの



自分を守っていい
自分が大切だと思うことを不当に扱うなんてゆるさない
自分の心が違うと思うものには
ふざけるなよ と言えるだけの怒りが必要なのだ


自分をこんなふうにあつかう自分にも
反旗をひるがえす


自分のちからを弱らせていたのは
自分じゃないかばかやろうめ!





怒りは愛だ










(だけどニンニは守られていた
ニンニの中の神様に

目に見えなくなったのは
ニンニがこれ以上傷つかないように
絶体絶命の時の防衛機能
自分の中からいつのまにか発動される


なにがあっても守られる
だからなにがあっても大丈夫)