トリケラトプスとみつ豆
ゆんちゃんとのお別れや
仕事探しやアトピーの再発や前代未聞の腰痛や
夜勤や湿気におみまいされて
ここ数ヵ月わたしはちょっこり弱っていた
毎朝日課の超ラジオ体操がちゃんとできない
もう二度と健やかさを感じることなんてできないんじゃないかと思うほど
夏休みの終わりに 母が横浜に遊びに来た
母はパワフルで小さな怪獣のようなので
わたしと猫たちにとっては襲来だ
明日母が来るから心しておいてね と猫たちに伝えておいた
ひとが来るとよってくるうちの猫たちが
母にだけはよってこない
猫たちにはトリケラトプスに見えるらしい
ちょっこり弱っていたわたしはちょっこり痩せて
母の体重はわたしの体重を越えていた
衝撃だった
昔わたしが学生だったころ
母は働きづめでガリガリだったのに
それはわたしのせいだと
とても心が痛かった
どうしようもなく辛かった
アイスを買ってやろうか
スーパーで野菜を買ってやろうか
ゲーセンでヒヨコを取ってやろうか (←!?) とうるさい
先週は妹のところへ行って
スーパーでいろいろ買ってやったから
あんたにもしたいのだ と
人並みの体型になった母は
今幸せだ とゆう
なんだかわたしも幸せにならなくちゃいけないと思った
いやもう幸せなのだけれど
もっともっともっとしあわせになれるかもしれない
しあわせが暖かさだったとしたら
わたしの感じているしあわせはまだ
雪国のなかで炬燵にあたっているようなものなのかもしれない
まだ南国のような暖かさをしらない
炬燵にあたらなくても
身を縮めなくても
生きてるだけで暖かい
なんだこりゃ とゆう世界
弱っていて睡眠やごはんがうまくとれていなかったのだけど
トリケラトプスのマシンガントークにおみまいされて
たおれるようにぐーぐーと何時間もお昼寝をした
それから母が持ってきてくれた
お好み焼きとみつ豆をぱくぱくとたらふく食べた
ちょっこり健やかをとりもどした感じがした
母はみつ豆を食べなかった
きっとわたしがみつ豆を好きだから
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