モモ妖怪説





①叔母 の証言
「あいちゃん(叔母夫婦の愛犬)が亡くなった時にモモはいたと思う」
ぺ家でみんなで あいちゃんお別れ会 をした時
あいちゃんと同じ真っ黒なモモを見た気がする
あいちゃんが亡くなって18年
つまり18年前 モモは生きていた?



②妹の証言
「モモの名前は私がつけた
『モモにしようよ かわいいから』と言ったら 
叔母が『鶏肉のモモね モモ肉のモモちゃんね』と言ったのを覚えてる
私は確か中学生だったと思う」
なぜ鶏モモ肉なのかわからないけれど
つまり20年前 モモは生きていた?



③祖母の手帖より
「1993年4月20日 仔ネコガ4匹ウマレタ」 との記述
ぺけばあちゃんは外猫をたくさんはべらかしていて
 その中で 真っ黒の仔猫のおなかにちょっとだけ白があるのがかわいいと言って
その1匹を家の中に誘拐 監禁したのだ
手帖にそれが書かれたのは25年前
つまり25年前 モモは生きていた?




④たんぽぽ先生の見立て
先日モモは生まれて初めて 動物病院で健康診断をうけた
先生は「相当な高齢かと思われます」との見立て
「余命はなんとも言えない 余命マイナス5才とは言える」
つまりモモは5年前にとっくに亡くなっているはずのからだ


猫生初の健康診断は 想像をはるかに超える結果をたたき出した
まず右肩が脱臼している
おそらくもう何年も前に
その脱臼をかばうため 関節包様の組織が形成されて肩を固定している
そして脾臓に水腫
肝臓に大きなリンパ腫
腹水もみられる
全身関節炎
肥大型心筋症
(モモは時々失神して意識を失う
その度にわたしはあわてふためくのだけれど
モモは三途の河を一周泳いで 5秒後に必ず戻ってくる)

その他も甲状腺やら腎臓やら胆管やらが
もう猫のそれではなかったけれど

今もモモは生きている

とっても元気に生きている




後見人として請けおった 亡き祖母の猫のモモ
 
モモは誘拐犯にしか懐かず
野良猫のように尖っていて
ほかのものは それまであまり姿を見ることがなかった


今は 帰ると出迎えてくれて
にゃおにゃお甘えてくれて
お腹のかわいい白まで見せてくれる
(今回の検診のエコー検査のため その白が刈りとられてしまった)



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モモは妖怪なんかじゃなかった
おばあちゃんとずっと一緒に生きていた
普通の奇跡の猫だった




モモの経緯をたどるなかで
家族の想い出も巻き戻された



ひとりで大きくなったような傲慢さをもって
ひとりで生きているような勘違いをしていたわたしに

家族はいてくれた 
一緒に生きていた
モモもそこにいた



己の弱さから 自分に閉じこもって
いろんなものが見えなくなっていた
こんなにいい人たちがそばにいたのに


    



つらかったとき  たすけて   って言えばよかったのだ

つらかったら   たすけて   って言えばよいのだ



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小学生の頃  ぺ家に泊まった時
なかなか姿を見せず懐かない祖母の猫たちが
夜 電気を消して寝静まると
階段からひょっこりと顔を出し
わたしたちの様子をうかがいにくるのが
たまらなくうれしかった
薄目をあけて寝たふりをして
すきあらば捕獲を試みた
猫はいつもうわてだった




今も夜中にみえる影はきっと
歴代の猫たち